音の要素とスピーカーの選び方2

--やさしいホームシアターづくり--

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ダイナミックレンジの広さ、これは小さい音を重視するか、大きい音を重視するかでまったく異なってきます。
ダイナミックレンジは小さい音と大きい音の差がどれだけ大きいかという指標なので、小さい音を正確に出すことを重視する場合と大きな音の再現性を重視するかで、要求されるものが大きく異なるのです。

小さい音を重視する場合、振動板が軽いスピーカーが有利となります。
小さい音を正確に再生するためには、素早く正確に小刻みに振動板を動かす必要があります。
大きな重いものを細かく動かすのは困難ですが、小さく軽いものは細かく動かすことは比較的簡単です。
ですから、振動板の軽さは重要となるのです。

大きい音を重視する場合、振動板の大きなスピーカーが有利です。
振動板が動ける幅には、ある程度制限があります。
大きな音を出すには、空気を大きく振動させる必要がありますが、振動板が大きければ小さな振幅でも大きな音を出せるのです。
同じ程度 振動の幅に制限が有る場合は、振動板が大きいほうが大きな音を出すのに有利なのです。

さらに、振動を起こす駆動部分(ボイスコイルと呼ばれます)も大きく出来るので、太い銅線(アルミや銀の場合も有ります)を使用できる為に大きな電流を流すことが出来、結果的に より大きな音が出せるのです。

ダイナミックレンジに関しては、アンプなども重要です。
小さい音ではノイズの成分が問題になりますし、大きな音では全てのチャンネル同時に大きな出力を出せるアンプが必要になるからです。
(ローコストのアンプは、1チャンネルでは大きい音がスペックでは出せても、複数のチャンネルを同時には出せないものも少なくありません。)


そして反応の速さの為には、振動板の軽さと駆動力が大きなポイントになります。

音の反応を速くする為には、振動板を速く動かすことが必要です。
振動板を速く動かすには、振動板が軽いことと駆動力が強いことが必要になります。

振動板の軽さは、ウーファーで特に重視されます。
トゥイーターの振動板は元々軽量に作られていますが、ウーファーは強度を確保する目的と小さなキャビネットでも低音を出やすくする目的で重く作ってあります。
この重さが、音の反応の速さに対しては悪影響を与えているのです。

軽いウーファーは、あまり見かけない上にスペックも公開されていない場合も多いので、判断に困ります。
目安としては、同じ直径(口径)のスピーカーで能率と呼ばれる、決まった入力を加えた際に出る音の大きさを表す数字(dBで表されます)が大きいものが軽い振動板のウーファーを使っている傾向が見られますから、同じ口径のスピーカー同士で能率を比較することです。
(口径が大きくなると能率も高くなる傾向があるので、同じ口径で比較しましょう。)

振動板の軽さだけで言えば、フルレンジスピーカーが有利なのですが、BOSEなど海外製品を除いて、日本製で本格的な製品はほとんど見られないので、選択肢に困ります。
(ちなみにBOSEのスピーカーは、内部の回路やキャビネットの作りの為に、あまり反応の良いスピーカーとは言えません。)

また、駆動力が強いことも必要です。
スピーカーを振動させる為に、ボイスコイルと呼ばれるコイルによる磁力とスピーカーに取り付けられた磁石による反発や引っ張り力を利用しています。
(ボイスコイルはアンプの電気信号を磁力に変換するコイルのことで、通常円筒状に巻かれ、振動板の裏に取り付けられます)

ボイスコイルでは、より高密度に銅線(アルミや銀の場合も有ります)を巻くことが重要で、エッジワイズ巻きなど角型の断面を持つ銅線を巻くことで密度を上げたものがあります。
磁石の強さも重要で、高価なスピーカーでは振動板の大きさと変わらないくらい大きな磁石を使用しているスピーカー(ユニット)もあります。
この二つを合わせて磁気回路と呼びますが、この磁気回路が強力なほど駆動力も高くなり、音の反応も速くなるのです。

また、キャビネットも音の反応の速さに かなり影響を与えます。
キャビネットの強度が不足していると、スピーカーが動こうとした際の反力を支えきれずにスピーカー(ユニット)が引っ込むために反応が遅くなります。
キャビネットの重さが不足している場合も同様に、スピーカーユニットの反力を支えきれません。
ですから、音の反応の速さの為には、丈夫で重いキャビネットが必要になるのです。

キャビネットが密閉型の場合は、空気がばねの役目になるので、振動板の動きが制限され反応が遅くなります。
逆にバスレフなど共鳴を利用している場合は、共鳴する空気が動き出すまでに時間がかかるために反応が遅れます。
これについては、スピーカーユニットとのバランスが重要で、どちらがいいとは一概には判断できません。

                                                     2009年2月13日更新

    

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