シアタールームのつくり方2

--やさしいホームシアターづくり--

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やさしいホームシアターづくり


第2レベル 中級
次のレベルとしては、かなり本気でシアタールームの為の部屋作りをすることを考えます。
初級同様、リビングや個室をシアタールームとして利用することが前提ですが、防音・遮音対策を ある程度重視したレベルです。


シアタールームの昼間の日光を遮ることに関する対策は、窓に厚手の遮光カーテンを取り付けることで対処します。
また、カーテン廻りには隙間が出来るので、そこからの光の漏れをふさぐカーテンボックスとサイドボックスも取り付けます。
もし、雨戸があれば雨戸を閉めることも有効で、この場合はカーテンは普通のもので構いません。

室内戸のガラス部分にも遮光カーテンが必要ですが、できればガラスを使わない戸が遮光には有利です。
引き戸は隙間が出来やすいので、開き戸を使用しましょう。

光の反射に関する対策は、初級と同様の対策が基本となります。
色の白さよりツヤの方が気になるので、壁や天井や床の仕上材にはツヤが少ない材料を選びましょう。


シアタールームの音を漏らさないことに関する対策は、家の外にスピーカーから出る音を漏らさないことが重要です。
住まいの他の部屋に音が漏れると、他の部屋にも音を漏らさない対策が必要になるので、シアタールームとして使用する部屋で完結する防音対策を考えます。

やはり窓廻りが一番問題になります。
気密性の高いサッシを二重に使用することが必要になります。
雨戸は気密性が低いので、本格的な防音・遮音には あまり効果はありません。

また、ペアガラスはガラス同士の隙間が小さいので防音・遮音効果は高くありません。
二重サッシは、窓同士の間隔を広げることで防音・遮音効果を上げているのです。
このあたりが分かっていない業者も結構多いので、防音・遮音工事を依頼する場合は、信頼できる業者を選ぶ必要があります。

遮光も兼ねて、窓の内側に木製の扉をつけることも有効です。
特に、ガラスと木では遮る音の傾向が違うので、お互いの弱点を補うことが出来ます。
ポイントは隙間を減らすことで、モヘアやパッキンなどを併用して隙間を無くすことが重要です。

外廻りにドアがある場合、内側にも木製のドアをつけて2重にすると防音・遮音効果が高まります。
ここでのポイントは、内側のドアは通常は開けたままで、すっきり見えるような形にすることです。
ドアが2重だと、頻繁に使う場合は非常に面倒です。
普段よく使う部屋をシアタールームとして利用する場合、通常操作で面倒な部分が増えすぎると快適さを失ってしまいうのです。


他の部屋に音を漏らさないために、内部の扉にも遮音タイプの扉を使う必要があります。
いくつかのメーカー製品に規格品がありますから、その中から選らぶ方が無難です。
建具屋さんに作ってもらうと隙間を無くすことが難しく、遮音・防音性能を確保することが困難になります。

もし、ホームシアターからの音が、他の部屋に漏れても構わない場合、扉は一般の物で気密性を重視した物を使い、扉を介してつながる全ての部屋の窓等を、気密性の高いものにする必要があります。
この隣接する部屋の窓は2重にする必要はありません。
この隣接する部屋自体が2重窓の隙間部分に相当するからです。

このレベルのシアタールームになると、壁自体に遮音・防音性能も必要になってきます。
床には遮音マット(一般的な木造住宅の場合は、床下に通気性があるので1階床でも必要です。)をはさみます。
壁や天井には遮音シートを壁下地に隙間無く貼ります。

ここで重要なのは、天井と壁、壁と床、窓廻り等の隙間部分を無くすことです。
せっかく壁や天井・床自体が遮音性能が高くなっても、隙間が少しでもあると、そこから音が逃げてしまうので防音・遮音性能が極端に下がってしまうのです。


また、忘れがちなのが換気扇やガラリ、コンセント部分など設備関係の防音対策です。
換気扇などには消音装置を取り付ける必要がありますし、コンセントや配線等の部分は隙間を無くすことが大切です。

シアタールームの防音・遮音で大切なことは、全体の防音・遮音性能のバランスを取ることと隙間をなくすことです。
窓だけ遮音性能が高くても、壁が遮音性能が低ければ壁から音が漏れてしまいます。
遮音性能が一番低い部分や隙間から音は漏れるので、1箇所でも弱点があると、その部分で遮音性能が決まってしまうのです。


また防音・遮音性能が高くなると、シアタールームの調音が重要になってきます。
なにしろ、外に音が漏れにくいということは、部屋の中に音が残りやすくなるので、変な音の響きが出やすくなるのです。

最近では吸音専用の製品がありますから、後で音を聞きながら調整することも可能です。
サラウンド再生を考えると、オーディオ時代と違って、後から来る音も重要になります。
オーディオ時代は視聴位置の後ろの壁を吸音仕様にすることが標準的な解決方法だったのですが、サラウンドでは全体的に吸音部分を分散することが必要となります。
部屋自体で吸音を考える場合、コーナー部分や天井部分を吸音部分に利用することがポイントです。

心地よい音の響きは、個人の好みによってかなり異なります。
また、ソファーなども音をよく吸収するので、家具等の配置によっても音の響きはかなり変化します。
ですから、建物自体での吸音部分は少なめにして、音が響きすぎるようだったら吸音製品を追加して調整することが調音におけるポイントになります。
映画を楽しむ場合、シアタールームの音の響きが少なすぎると寂しい音に聞こえてしまうこともあるので、吸音のし過ぎは要注意なのです。

                                                     2009年2月19日更新

    

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