AVアンプとスピーカーの組み合わせ

--やさしいホームシアターづくり--

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やさしいホームシアターづくり


ホームシアターの5.1chサラウンドを本格的に楽しむ場合、AVアンプとスピーカーを別々に選ぶことになります。
アンプに求める性能とスピーカーに求める性能にこだわりがある場合、ワンセットのサラウンドシステムでは両立することがなかなか難しいものです。

仮にワンセットと同じくらいの値段の機器でも、こだわりを持って上手に選ぶとワンランク上のサラウンドが楽しめるのです。
また元々単品を組み合わせていれば、将来的に進化が激しいAVアンプだけをグレードアップしたりすることも簡単です。
(ワンセットのシステムでもAVアンプだけを変えることが可能な機器もありますが、音のバランスが悪くなることも多いのであまりお勧めできません。)


まずAVアンプに求められる性能は、ドルビーデジタル(AC−3)とdtsとAACの3つのサラウンド方式に適応していることです。
さらに現在では、最新のドルビーTrueHDとDTS−HD マスターオーディオに対応している製品が必須ともいえます。
ただし、映画等市販ソフトのみを楽しむ場合にはAACは必須ではありません。

また、スピーカー5本(5.1chの場合)に対するアンプ部分が対等の性能を持っていることも大切です。
(7.1chなどの再生を希望する場合は必要なチャンネル分のアンプが搭載されていることが必要になります。)
サブウーファー以外は、要求される音声の質は同等であることが望ましいのです。
フロントのみを重視しているアンプは、リアの音質がフロントと違ってくることも考えられます。

また、スピーカー端子についても同様なことが言えます。
特にローコストのAVアンプはフロントとリアのスピーカー端子の形状が異なることも多いので注意が必要でしょう。

アンプの出力の数字については気にする必要はほとんどありません。
よほど防音や音響に気を使った部屋以外では、数ワット以上の音量を出すと近所迷惑となりますし、部屋自体でも音が飽和してしまいます。
仮に80ワットと100ワットを比べると2割しか最大音量に差が無いのです。
2割位の音量の差は、真面目に聞いていても大差が無い数字といえるのではないでしょうか。

アンプは出力の数字より電源部分の大きさと質が大切です。
安定した音を出す為には電源部分の安定性が最も必要となるので、電源部分の大きさと質が重要になるのです。
高級なAVアンプ程大きく重くなるのは、電源部分が大きく上質になる為といっても過言ではありません。


日本製のAVアンプには、サブウーファー用アンプが搭載されていないタイプがほとんどです。
サブウーファー自体にアンプが搭載されています。
しかし、海外製品のごく一部には、アンプにサブウーファー用のアンプが搭載されていて、サブウーファー自体にはアンプが搭載されていない製品もあります。
ですから、スピーカーと組み合わせる場合には、サブウーファーのアンプが、AVアンプについているのか サブウーファーについているのかを確認する必要があるのです。

各スピーカーの音量や距離などを自動調整出来るAVアンプも多く、この機能は手軽で便利なので有効に活用しましょう。

また、各種サラウンドモードについては、元々のソフトの音声に忠実なのはスタンダードモードです。
他のバリエーションは元々の音声を加工してしまうので、音の質が下がったりバランスが崩れる傾向があります。
スピーカーの設置位置が大きくずれてしまう場合の補正の目的でのバリエーションの活用を除いては、スタンダードモードで一番楽しめるようなスピーカーの配置(セッティング)を行うことが重要です。


ビジュアル部分については、装備されている端子の種類と信号の相互変換機能が重視されるでしょう。
接続している機器が多い場合には便利な機能ですし、AVアンプによっては映像と音のタイミングのズレを補正する機能をもったものもあります。
最近の上級の液晶ディスプレイで採用されている高画質技術は、映像が音声よりも遅れる傾向があるので、この機能で補正することも重要になります。

また、デジタル信号でもエラーが多くなると画質は劣化するので、ケーブルは出来るだけ短く接続点も少なくすることが高画質化には有効なのです。

スピーカーに求められるのは、音色の統一感でしょう。

サラウンド用のスピーカーは全てのチャンネルがセットになったものや、シリーズ化されているものがほとんどです。
音質はコストによって上昇しますが、同じ価格帯の製品を比較する場合は音色の統一感があることが最も重要です。

ほとんどの日本の製品は、フロントスピーカーが高い形状で、リアスピーカーが小さく、センタースピーカーが低い形状をしています。
スピーカーユニットが同じでも、エンクロージャー(外形の箱の部分です)が違ってくると音質もかなり変化します。

普通に考えると、ワンセットをシリーズで揃える事になりそうです。
しかし設置が可能なら、5ch全てのスピーカーを同じ形状のスピーカーにしたいところです。

その場合、特に問題となるのはセンタースピーカーです。
中心にディスプレイやスクリーンがあるため、どうしても低い形状のスピーカーが必要になります。

ここで音色の統一を最重視して考えると、全てのスピーカーにセンタースピーカータイプを使用することが一番の解決方法とも思えます。
低音はサブウーファーで再生するので、スピーカーの小ささは欠点にはなりにくいのです。

スピーカーの音質にこだわる場合は、コンパクトなオーディオ用スピーカーを使用することも考慮しましょう。
コンパクトスピーカーであればディスプレイの下部にも設置できますし、クオリティーにも妥協した部分が少ないので音質にこだわる場合は効果的です。(ただし、映画などの音声に向く音質なのかという別の問題も生じるかもしれませんけれども。)


サラウンド再生用スピーカーの設置は下図の同心円状の配置が基本になります。

SP配置

ここで、一般の部屋に配置する場合、センターとフロントは正面1面に並び、リアが後1面に並ぶ形になるので、この円状の配置に出来るだけ近づけることがスピーカー配置のポイントになります。
また7.1chは、リビングなど一般の部屋ではスピーカーの配置が非常に難しくなることがわかります。

スピーカーの位置が最も重要ですが、スピーカーを設置する高さやしっかり設置することも大切です。
スピーカーと向き合う角度によっても音のバランスは変わってくるので、高さも出来るだけ同じ高さにしたいところです。(スピーカーの斜め向きで音を聞くと、高い音が聞こえにくくなることで実感できます。)

スピーカーは振動によって音を出しています。
設置場所がグラグラ不安定な場所だと、スピーカーの振動によって箱全体が動いてしまうので、正確な音が出せなくなるのです。
スピーカーを正確に動作させる為には、しっかりした場所に設置することが大切です。

サラウンド再生の製品を選ぶ場合、組み合わせで一番悩むのはスピーカーの選択でしょう。
AVアンプについては、機能や音質やメーカーの好みなどで決めると比較的選びやすいようです。

しかしスピーカーの場合、素直にメーカー推薦の形にすると各スピーカーの大きさがばらばらなので、どうしても音質の統一感に疑問が生じてしまいます。
メーカー推奨の形を優先するか、全てのチャンネルを同じスピーカーで揃えるか、という選択が最も重要な要素になりそうです。

                                                     2009年2月13日更新

    

  音響の概要 ドルビーデジタルとdts

  フロントサラウンドシステムとステレオでの再生

  ワンセット5.1chサラウンドシステム

  AVアンプとスピーカーの組み合わせ

  ヘッドホンで楽しむサラウンド

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